詩の賞

詩集におくられる文学賞、受賞作品についてまとめています。

第37回現代詩人賞|2019年(平成31年)

受賞

齋藤 貢 『夕焼け売り』

2018年(平成30年)10月、思潮社

震災後の福島の悲惨を、詩人はしずかに見つめてきた。人としての自然を奪われた理不尽な現実に抗う、魂の声24篇。

思潮社ホームページより

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齋藤 貢 『夕焼け売り』

東日本大震災で被害を受けた福島が舞台になっているようです。齋藤貢(さいとう・みつぐ)さんは福島とどのような関わりがあるのでしょうか。

1954年福島県生まれ。茨城大学卒。国語の教員として県立高校に勤務した。
東日本大震災原発事故が起きた2011年は、事故を起こした福島第一原発から北へ約14キロ、警戒区域となって立ち入りを禁じられた福島県南相馬市小高区の高校に勤務していた。
詩誌「歴程」、「白亜紀」、「孔雀船」、「コクリコ雛罌粟」の同人。福島県現代詩人会理事長。いわき市在住。

日本現代詩人会ホームページより

2013年に刊行された『汝は、塵なれば』(思潮社、2013年)でも、災害についての詩が書かれています。その一部を引用します。

向こう岸に渡りながら、わたしたちは、向こう岸に、指一本も触れることができない。もしかすると、このまま、本当に向こう岸には、永遠に、たどり着けないのではないか。伏し目がちにじっと息をひそめて、その傍らを通り過ぎていく。ただそれだけしかできないのではないか。
(「警戒区域、小高へ」)

思潮社ホームページより

震災以前にも『魚の孵る日』(国文社、1978年)『奇妙な容器』(詩学社、1987年)『蜜月前後』(思潮社、1999年)モルダウから山振まで』(思潮社、2005年)『竜宮岬』(思潮社、2010年)と多くの詩集を発表しています。『奇妙な容器』では第40回福島県文学賞を受賞。今回の受賞についてのコメントが発表されていたので紹介します。

第二次選考会の当日は、H氏賞の選考委員を務めていました。やや長引いたH氏賞の選考が無事に終了した後に向かった会議室の入り口のところで「現代詩人賞」受賞を理事の方から告げられたときは、正直なところ、驚くばかりでした。やがて、少しずつ受賞の実感はこみ上げてきましたが、それは嬉しさというよりも、むしろ大きな賞への責任の重さのようなものであったと思います。

日本現代詩人会ホームページより

 

選考委員
相沢正一郎、岡本勝人、小柳玲子、佐々木洋一、細野豊、細見和之、若山紀子

 

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